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「ベーコンやソーセージでがんになる」研究の伏線は20年前の「ホットドッグ戦争」

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 今週、世界中のソーセージやベーコン愛好家たちの間に衝撃が走った。

 世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が、「加工肉の摂取が大腸がんを引き起こすことを示す十分な証拠が得られた」として、タバコやアスベストと同じレベルの発がん性があるという評価を公表したのだ。

 なんでもハムやベーコン2~3枚分(50グラム)を毎日食べ続けると、がん発症率が18%高まるというのだ。子どもをもつ親や、健康志向の高い人々の食卓や冷蔵庫から加工肉が消えるほどインパクトのある数字だ。

 ただ、ビミョーな部分もある。

 ここまでダイナミックな公表をしておきながら、加工肉が発がん性を高めるメカニズムは分からないというし、これが原因でがんになって亡くなるのは全世界で、推定約3万4000人という、全世界の消費量に対してはどうなよというほどの少なさであり、タバコや大気汚染に結び付けられるがん死亡者数とは桁がひとつもふたつも違うのだ。

 こういう「穴」をめがけて、IARCに世界中からびゅんびゅん矢が放たれている。なかでも鼻息荒く切り込んでいるのが、ソーセージやベーコンやらをつくる加工肉業界だ。

 北米食肉協会(NAMI)は、望む結論へ誘導するためにデータを歪曲(わいきょく)したと指摘。つまり、インチキを行ったと痛烈に非難した。会長のバリー・カーペンター氏などは、こんなコメントをだしている。

 「IARCががんの原因にならないと明言しているのは、ヨガの際にはくパンツに含まれる化学物質だけだ」

 まがりなりにもWHOの外部機関をここまでこき下ろすというのはいかがなものかと眉をしかめる方もいるかもしれないが、加工肉業界も攻撃的にならざるえない理由がある。

●加工肉はちょいちょい槍玉に

 われわれ一般消費者があまり気づかないだけで、ソーセージやベーコン業界はかれこれ20年以上も一部研究者から「がんの原因」という攻撃を受け続けてきた。そのたびに反論を繰り返してきたところへいよいよその「親玉」ともいうべき国際がん研究機関が参戦してきた。総力をあげて叩くのも当然だ。

 遡(さかのぼ)れば1970年代、世界的に食品添加物が問題視をされていた時代から、ソーセージ、ベーコン、ハムなどの加工肉はちょいちょい槍玉に挙げられてきた。

 しかし、新鮮そうなピンク色にしないと「まずそうだ」と売れない。防腐剤を入れないと日持ちも悪いし、独特の獣臭もする。なによりも、大豆や牛乳、血液の異質タンパク質などからできる増量剤を添付しないことには、低価格で大量生産するというビジネスがまわらない。

 結果、「そこまで健康的じゃないけど、おいしいし安いし、そんなにバカみたいにたくさん食べるわけでもないから問題ないっしょ」というスタンスでのらりくらりと批判をかわしてきたのだ。

 それがいよいよ劣勢に立たされてきたのが1990年代、健康志向が強まってきたことに加えて、加工肉をあからまさに「標的」とした研究が増えたことが大きい。なかでも大きなインパクトを与えたのが1994年に米国で勃発した「ホットドッグ戦争」である。

 南カリフォルニア大学の教授たちが、ロサンゼルス地区の白血病のロサンゼルス地区の白血病の子ども約230人らを調べたところ、1カ月に12個以上のホットドッグを食べた子どもは、食べなかった子どもと比較すると9倍も白血病リスクが高まったというレポートを公表したのだ。

 230人という調査対象者数の少なさにもかかわらず、反響は大きく、ロサンゼルス・タイムやテレビでも取り上げられて全米に飛び火し、業界団体がカウンターとして「反論パンフレット」を配布するような騒動にまで発展した。

●1970年代から常に「容疑者」

 この背景には当時、米国で子どもの白血病や脳腫瘍が過去20年右肩上がりで増え続けいたことも大きいが、なによりも加工肉に使われるある物質が「がんを引き起こす犯人」として注目を集め始めていたことがある。

 亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)だ。

 漬物や野菜に含まれるこの食品添加物は、ソーセージの発色剤にも使われているもので、これ単体では発がん性はないとされているのだが、1970年代から常に「容疑者」と目されてきた。

 きっかけは1970年代、ドイツで「魚と野菜を食べると胃の中で発がん物質ができる」という実験結果が報告されてから、魚に含まれるアミン類と、野菜の亜硝酸塩が反応するのではという「仮説」が唱えられてきた。それを裏付けるような研究がこの時期にちょいちょい発表されて注目を集め始めていたのだ。

 日本でも1995年10月に開催された日本がん学会総会で、国立衛生試験所病理部が亜硝酸塩を入れた水と魚粉で2年間ラットを飼育し、より多くの魚粉と亜硝酸塩を与えたラットが膵臓がんになりやすいという結果を報告している。

 1991年7月の食品法改正で表示にも登場するようになったということもあり、健康志向の強い方たちの間ではチェック対象の添加物になっている。食肉メーカー各社は、食品添加物は仮に毎日食べても安全な量が国際基準で定められており大丈夫ですよというPRを行ってきて今にいたる。例えば、ニッポンハムのWebサイトにも「よくある質問」として「発色剤(亜硝酸Na)の安全性に問題はないのですか。」という項目があり、以下のように説明されている。

 発色剤については、食品衛生法で食肉製品で用いられる亜硝酸根残存量は70ppm(1kgに対して0.07g)以下と使用基準が定められています。

 そんな業界側の反論もどこ吹く風で、研究者たちの「加工肉」研究はさらにヒートアップしていく。2005年になると、ハワイ大学の研究チームが、アフリカ系、日系、白人、ラテン系などさまざまなグループの男女19万545人の食事とすい臓がんの関係を調べ、加工肉を多く食べるグループは、あまり食べないグループに対して67%リスクが高いという結果を、米国癌学会議(AACR)総会で発表した。

●昨日今日出たような話ではない

 この流れは2007年、世界がん研究基金と米国がん研究協会が、赤肉と加工肉の摂取が大腸がんの「確実なリスク」と評価した報告書を出したことでさらに加速。日本でも日本医師会雑誌などに、肉類の調理加熱中などに生じる物質が、大腸がんに関連するのではないかというような研究が発表される。

 こうして徐々に外堀が埋められていくなかで、トドメとなったのが2013年3月7日、スイス・チューリッヒ大学の研究チームが英医学雑誌『BMC Medicine』で公表した研究結果である。

 フランス、イタリア、スペイン、英国、ドイツなど欧州10カ国の住民44万8568人(男性40~70歳、女性35~70歳)を、約平均13年にわたり追跡調査したこの研究では、加工肉の摂取量が1日50グラム増加するごとに死亡リスクが18%上がったなんて結果が出た。この数字を見れば、今回の国際がん研究機関の報告の「元ネタ」であることは明らかだ。

 このような流れを見ても分かるように、「加工肉でがんになる」というのは昨日今日でたような話ではない。一部研究者たちにとっては、長きにわたって取り組んできた研究テーマであり、がんとの因果関係を明らかにすることは「悲願」ともいうべきものなのだ。

 なんてことを聞くと、「じゃあやっぱりソーセージとかベーコンは危ないんだ」と思うかもしれないが、一概にそうとも言えない。

 研究者たちが科学的に証明しようと長年取り組んできたからといって、信用できるとも限らない。むしろ、「証明したい」というバイアスが加わっているからこそ、胡散(うさん)臭くなってしまう部分もあるのだ。

 1995年、日本人が目を疑うような研究結果が科学誌『ネイチャー』に掲載された。なんとサンマの開きから抽出した物質をラットに与えたら、胃がんの発生が確認したという。泣く子も黙る『ネイチャー』にそんなものが出るということで、日本国内のメディアも取り上げ、小売店にも問い合わせがあった。

 ただ、これは結論から言うと、とんでもないデタラメだった。この実験を行ったのは米国保健基金のジョン・ワイスバーガー博士らだが、彼らは日本食店で購入したサンマの開きを食塩と亜硝酸塩で処理を行ったものをラットに与えていたのだ。

 水産庁はこれに猛抗議。日本では塩漬けサンマには亜硝酸塩を添加することは、食品衛生法で禁止されている。「禁止添加物を実験につかう理由がわからない」と首を傾げて、「安全性に問題はない」という文書まで配布をしたのである。

●加工肉業界側の「反撃」に注目

 では、ワインバーガー博士らはなぜそんなことをしたのか。

 米国人なので、サンマの食べ方を知らないということもあったかもしれないが、タイミング的なことを考えると「わざと」である可能性が高い。当時は「ホットドッグ戦争」に代表されるよう、世界中の医療関係者がどうにかして「亜硝酸塩=犯人」の証拠をつかもうと心血を注いでいたが、なかなか証拠がなかった。

 なければつくればいい、と思う者がいてもおかしくはない。事実としてそういう研究不正は山ほど行われている。亜硝酸塩をクロにするには、分かりやすく「がん」を発生させることだ。そこで「サンマ」に白羽の矢がたった可能性はなかったのか。先ほども申し上げたように、野菜と魚を組み合わせると発がん性物質ができるというのは1970年代からまことしやかにささやかれていた。その仮説を塩漬けサンマで実証したのではなかったのか。

 福島第一原発事故後、メディアから「御用学者」なんて叩かれたある被曝医療の権威にインタビューをさせてもらったことがある。チェルノブイリの臨床研究されたえらい方ということで、「放射性物質が体内に入ると、どのようなメカニズムでがんが発生するのでしょう」なんて思いっきり素朴な質問をしてみたら、その権威と呼ばれる先生は笑ってこう答えた。

 「それが分かったらノーベル賞ですよ。メカニズムが分からないから統計で証明するしかないんですよ」

 IARCも「分からない」としたように、加工肉と「発がん性物質」の因果関係も明らかにできたらノーベル賞だろう。だからこそ疫学データが重要になるわけだが、ここにはわれわれ一般人がはかりしれぬ「闇」があるのも事実だ。製薬会社が仕掛けた有名大学病院の研究不正事件や、続発した論文不正事件などを例に出すまでもなく、望む結論を導き出すためデータに細工をする研究者が少なからず存在している。北米食肉協会が主張する「インチキ疑惑」も完全には否定できない。

 とはいえ、今回の研究結果がインパクトを与えたのは事実だ。20年前の「ホットドッグ戦争」から地道にエビデンスを積み上げてきた研究者側が、WHOのお墨付きを得て優勢なのは間違いないだろう。

 果たして、ソーセージやベーコンも「たばこ」のような道をたどるのか。加工肉業界側の「反撃」に注目したい。

(窪田順生)

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引用:「ベーコンやソーセージでがんになる」研究の伏線は20年前の「ホットドッグ戦争」


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引用:「ベーコンやソーセージでがんになる」研究の伏線は20年前の「ホットドッグ戦争」


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